無題-1




よくある出会い系で知り合った子だった。会う度会う度心配になるほど血色が悪くて、いつも死んだような顔をしていた。今日は焼肉屋に行きたいらしい。ハチ公で待ち合わせて少し歩く。行きたいと言われたところに連れて行っても、美味しいねと一言言うくらいで表情は一向に明るくならない。普段はキャバクラをやっているようなのだがこの調子で接客していたらどうしようかと、保護者のような気持ちになる。連絡はいつも自分から送るばかりで彼女からはたまにしか返ってこない。返ってくるのは大抵彼女が暇なときで、「このまま家に居続けたら死んじゃうから飯連れてって」といった具合いのメッセが来る。対して自分は、返ってこないことが分かっていながらも日記のような他愛もない連絡をしてしまう。冗談で犯すぞなんて言ってみたこともあったが、彼女は相変わらずの調子で煙を吐きながら気持ち悪、とこっちになんて目もくれないで言うのだ。



それからしばらく経った日、珍しい通知が来ていた。好きな人が出来たんだ〜という内容だった。まるで似つかわしくないハートマークを使っていたのをよく覚えている。なんて返したのかはもう忘れた。もう仕方のないことだと、ひたすらバイトの予定を詰めた。そうやって日々を過ごしているうちに不意に思い出してまたアプリを開いた。何度スクロールしても見つからない。自分は察しが悪い方ではない。真似るようにそのアプリを消して、部屋の照明を落とした。